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中学生はお小遣いでマネー教育を!相場や平均額はいくら?渡し方やルールも解説

家計/貯金

  • 投稿日:2022.03.09
  • 更新日:2022.03.25

子どもが中学生になると、お小遣いを渡す家庭も多くみられるようになります。とはいえ、気になるのが「一般的な家庭では、中学生にどのくらいのお小遣いを渡しているのか」というお小遣いの相場ではないでしょうか。またせっかくお小遣いを渡すなら、金銭感覚も養ってもらいたいという親心も働き、「子どもに合ったお小遣いの渡し方」に戸惑う方も多いでしょう。

そこでこの記事では、中学生のお小遣いの相場や使い道、渡し方など、「中学生のお小遣い」について詳しく解説していきます。お小遣いを通して、子どもと一緒にお金の大切さをいま一度、学んでみてはいかがでしょうか。

中学生のお小遣い、全国の平均金額は毎月2,000円!?

まず、中学生のお小遣いの平均額を確認してみましょう。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年調査結果」によると、中学生のお小遣いの全国平均は2,409円となっています。地域別に見てみると、平均額は以下のとおりとなります。

北海道1,500円
東北2,200円
関東2,639円
北陸1,750円
中部2,545円
近畿2,107円
中国2,318円
四国1,000円
九州2,667円

※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年調査結果」

ちなみに同調査では、小学1~2年生で平均額660円、小学3~4年生で934円、小学5~6年生で1,270円、高校生で5,335円、大学生で2万245円という結果になっています。年齢によって少しずつお小遣いを増やしている家庭が多いようですね。

そもそも中学生にお小遣いは必要?もらっていない子もいる?

若年層リサーチ結果を発信する「TesTee Lab」が、2021年に中学生・高校生の男女を対象に「お小遣いに関する調査」を実施したところ、75.9%の中学生がお小遣いもらっていると回答しています。※TesTee(テスティー)調べ:https://www.testee.co

また、金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査 第3回(2015年度)」でも、中学生の83.2%がお小遣いをもらっていると回答しています(「もらっている(定期的に)」と「もらっている(必要の都度)」の合計の割合)。

お小遣いをもらっていない中学生は全体の2~3割程度となりますから、多くの中学生がお小遣いをもらっていることが分かりますね。

なお、金融広報中央委員会の同調査では、中学生・高校生ともに7~8割はお小遣いをもらうに当たって「何の前提条件もない」となっていますが、中学生の1割強・高校生の1割弱は「家の仕事をすることが条件」になっています。その他にも「良い成績をとること」をお小遣いの前提条件にしている家庭もあり、ルールに基づきお小遣いを渡しているというご家庭も見られます。

※参考URL:金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査 第3回(2015年度)」

中学生のお小遣いの使い道は?ランキングで紹介

先ほどの金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査 第3回(2015年度)」によると、中学生のお小遣いの使い道は以下のような順位になっています。

<中学生>
1位友達との外食・軽食代
2位おやつなどの飲食物
3位友達へのプレゼント
4位文房具
5位家の人へのプレゼント
6位休日に遊びにいくときの交通費
7位ゲーム代
8位小説や雑誌
9位まんが
10位映画やライブのチケット

※出典:金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査 第3回(2015年度)」

中学生になると交友関係や行動範囲の広がるため、それにに伴う支出が多いことが分かりますね。ゲームやまんがなど、趣味に関わる支出も多く見られます。

どうしたらお小遣いのやりくり上手になる?お小遣いのルール・渡し方は?

多くの中学生がお小遣いをもらっていることは分かりましたが、お小遣いの渡し方に迷ってしまう親御さんも多いのではないでしょうか。

お小遣いを渡すことで、子どもの金銭感覚が養われるのではないかと期待する一方で、使いすぎや使い道などに不安もあるでしょう。お小遣いの渡し方にはさまざまな方法があるため、それぞれの特徴やメリット・デメリットを考慮した上で、子どもの性格や家庭の考えに合わせて選択することが大切です。

お小遣いを渡す前に、子どもに合ったルールを決めたり渡し方にも工夫を凝らしたりするなど、将来に向けてお金の使い方が練習できるチャンスとしてお小遣いを活用しましょう。

【定額制】毎月決まった金額を渡す方法

中学生のお小遣いの渡し方として、もっともオーソドックスな方法の1つが「定額制」です。毎月決まった時期に決まった額を渡す方法で、親の給料日などに合わせてお小遣いを渡します。

この方法のメリットとしては、渡された金額内で自分で使い道をコントロールできる力が身につく(自己管理能力)ことや、自分の欲しいものが計画的に買えるようになることが挙げられます。親の給料日に合わせることで、親への感謝の気持ちも生まれるかもしれません。

デメリットとしては、子どもによっては使いすぎたり前借りをしたり、何に使ったのか不明になることなどが挙げられます。また子どもによっては、「毎月もらって当たり前」と考えてしまい、感謝の気持ちが薄れてしまうことも。

一度増やしてしまうと、減らしにくいこともあります。定額制でお小遣いを渡すのであれば、事前に適正な金額であるかの確認も念入りに行いましょう。

【都度制】必要なときに渡す方法

子どもがお小遣いを必要とする時に、必要な額を渡す「都度制」という方法もあります。この方法のメリットとしては、子どもが何を欲しがっているのか親が管理しやすく、用途が不明になりにくいということが挙げられます。

デメリットとしては、子どもが欲しがるたびにお小遣いを渡すと、子どももお小遣いは際限なくもらえるものと勘違いしやすく、欲しいものを我慢することができなくなり自己管理能力が育たなくなることなどが挙げられます。また親が家計簿をつけていないと、親自身も毎月いくら子どもにお小遣いを渡しているかも不明になりやすいともいえます。

都度性を選択するならば、親自身も子どもにいくらお小遣いを渡しているのかしっかり把握し、子どもにも欲しいものは何でも買ってもらえると勘違いさせないような工夫が必要です。

【成果報酬制】お手伝いや勉強で結果を出したときに渡す方法

家のお手伝いやテストでいい点を取ったなど、何かの対価としてお小遣いを渡す「成果報酬型」の方法もあります。

メリットとしては達成目標が分かりやすいので、子どものモチベーションが上がりやすい(目標達成能力が育つ)という点が挙げられます。

デメリットは「お金のために行う」意識が強くなり、自分から何かをしようという気持ちが起こりにくくなる(自主性が育たない)という点が挙げられます。

成果報酬型を選択する場合は、成果を出すためのハードルを低くし、自ら目標をやり遂げられたという達成感をしっかり実感できるような工夫が必要です。

達成できないような無理難題ばかりを押し付けられても子どもも疲弊してしまいますし、かえって自己嫌悪感を育てる原因になることもあります。親自身も「目標を達成できなかったからお小遣いはなくて当然」といった発言をしないよう気をつけましょう。

また、子どもには不相応なほど大きな金額を対価にしてしまうと、一攫千金を狙うギャンブル的な要素が出てしまいますので、その点にも留意すべきでしょう。

【プレゼン制】定額制+必要なときに渡す方法

毎月最低限のお小遣いだけ渡して、もし欲しいものがあればその都度交渉でお小遣いを渡す「プレゼン制」という方法もあります。

メリットとしては、交渉力が身につくことや子どもとコミュニケーションをとる機会が増えることなどが挙げられます。また子どものプレゼンを通じて、親も本当に子どもが欲しいと思っているかどうかも見極めやすくなります。

デメリットとしては、使ったら交渉すればいいという気持ちになりやすいので、計画性や管理能力が育ちにくいことです。

親も子どもと向き合う必要が出てきますので、忙しくて子どもとお金のことにまで向き合う時間がないと感じる親にとっては負担になりやすく、子どもの言いなりになってしまうこともありますので、注意しましょう。

今話題の【年俸制】とは?

最近、SNSなどで話題になっているお小遣いの渡し方としては「年俸制」が挙げられます。

通帳や銀行印、カードなどを本人に管理させ、年に1回程度まとまった金額のお金を渡し、1年間お金をやりくりすることを通じて、お金を計画的に使うことの重要性を知ってもらおうという方法です。幼いころお小遣いが年俸制だったという著名な芸能人や経営者もいて、中には年俸制によって一定の金銭感覚が養われたという人もいます。

メリットとしては、1年という長いスパンでお金をやりくりしなくてはならないため、お金の残高を意識した計画的な金銭感覚が養われやすいという点が挙げられます。

デメリットとしては、長期的なやりくりが求められるため、途中で修正することが難しく、特に幼い子どもでは失敗しやすいこと、大きな子どもでもやりくりができないと友人関係の維持なども難しくなりやすいことなどが挙げられます。

中高生になると、友人との交際費の予測が立てにくいこともあり、急なクラスイベントなどを欠席せざるを得ない状況になってしまった時に、やりくり力のなさを責められてしまうと子どもも悲観的になりやすくなります。失敗することを前提に、失敗した時のリカバリーまで考えてあげるようにするとよいでしょう。

おこづかい帳はつけるべき?

子どもにお小遣いを渡すようになると、「おこづかい帳」をつけさせた方がいいのかと迷う方もいるでしょう。おこづかい帳をつけることは、子どもにお金に対する関心を持たせ、お金の使い道を振り返らせる良いきっかけになります。できる限り導入した方がよいものではありますが、あまり細かくルールを決めると途中で挫折する可能性も高くなります。

最初は、おこづかい帳の残高と実際のお金の残高が合っていればいいなど、ルールを厳しくしないようにし、ざっくりでいいのでつける習慣を身につけさせることから始めると簡単です。

おこづかい帳をつける習慣を身につけさせるためには、「おこづかい帳を毎月しっかりつけたら、翌月のお小遣いを渡す」などの約束をするのも一案です。ただし、先述した金融広報中央委員会の調査によると、「おこづかい帳」をつけていない子どもは、7~8割(対象は50,149 名)にも!ほとんどの子どもが、お小遣いをもらってもおこづかい帳はつけていない状況です。

おこづかい帳をつけている子どもには定期的に貯蓄をする傾向があるようなので、貯蓄の習慣をつけることにおこづかい帳は役立つといえます。しかし無理強いしても、なかなか続けるのが難しいのが現状でしょう。

特に親自身も家計簿をつけていない場合、子どもだけにおこづかい帳をつけることを強要するのも難しいことも。子どもにおこづかい帳をつけさせるなら、親も家計簿をつけるなど一緒に取り組む姿勢を持つと、子どもも長続きしやすくなります。

大人でも挫折しやすいのがおこづかい帳ですので、続かなかったからといって子どもを責めないようにしましょう。続かないのであれば、その他の方法でお小遣いの使い道を一緒に振りかえるなど負担のない方法を考えてみましょう。

お小遣いをきっかけに、子どもにお金の大切さを教えよう

2022年4月から高校の家庭科の授業で「投資教育」が義務化されるなど、近年、金融リテラシーの向上への取り組みは低年齢化している傾向があります。小さいころからお金の役割や価値を家庭で教える必要性は高まりつつあり、そのきっかけとして「お小遣い」は非常に役立ちます。

金額やルールは、各家庭の事情や子どもの性格によって異なるため、それぞれの渡し方のメリット・デメリットを知ったうえで、子どもとしっかり話し合い、お小遣いを通じたマネー教育を始めてみてはいかがでしょうか。

平塚千晶(あき)/家計簿・家計管理アドバイザー

この記事を書いた人
平塚千晶(あき)/家計簿・家計管理アドバイザー

この記事を書いた人
平塚千晶(あき)/家計簿・家計管理アドバイザー

AFP、マネーライフプランナー、住宅ローンアドバイザー。自身が3人の子をもつ母であるため、特に教育費、家計簿、家計管理に関する家計相談を得意とする。キャッシュレスや家計簿アプリなどの分野にも精通し、テレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力、著書に「スマホでもできる あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」などがある。