MENU

生命保険料の平均はどのくらい?年収やライフステージで額が違う理由

保険

  • 投稿日:2022.09.21

 ライフステージが変化するタイミングは、保険を検討する良いタイミングです。保険へ加入する際には、支払う保険料の目安を知ったうえで、自分に必要な保障は何かを考えることが大切です。今回は、生命保険料の平均や年代ごとの特徴、さらには生命保険を選ぶポイントについて解説します。

生命保険の保険料の平均

年間払込保険料(全生保)

平均(19.6万円)
12万円 未満34.1%
12~24 万円未満31.1%
24~36 万円未満15.9%
36~48 万円未満6.4%
48~60 万円未満2.9%
60万円 以上3.4%
わからない6.4%

 令和元年のデータを見ると、生命保険に加入している人の年間払込保険料の平均額は19万6,000円で、月額に換算すると約1万6,000円程度の出費です。ですが分布をみると、年間12万未満の割合が最も多く、全体の34.1%を占めています。次いで多いのが12万円~24万円未満で全体の31.1%です。つまり、全体の65%が月額1万円~2万円未満の間の保険料額に設定していることがわかります。

出展:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和元年度

性別の年間払込保険料

年間の払込保険料を男女別で比較してみると、男性の場合は年間23万4,000円、女性は16万8,000円と6万6,000円の開きがあることがわかりました。

男性の年間払込保険料(全生保)

平均(23.4万円)
12万円 未満25.8%
12~24 万円未満28.3%
24~36 万円未満21.5%
36~48 万円未満9.1%
48~60 万円未満3.6%
60万円 以上4.9%
わからない6.9%

男性の年間払込保険料が一番多い層は12万円〜24万円未満で、全体の28.3%を占めています。次いで多いのは12万円未満で25.8%です。つまり、男性全体の約54%が24万円未満に抑えていることがわかります。

女性の年間払込保険料(全生保)

平均(16.8万円)
12万円 未満40.2%
12~24 万円未満33.1%
24~36 万円未満11.7%
36~48 万円未満4.3%
48~60 万円未満2.4%
60万円 以上2.2%
わからない6.0%

女性の場合、一番多いのは12万円未満で全体の40.2%を占めています。そして、12万円〜24万円未満が33.1%と、全体の70%以上が24万円未満を占めています。

出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和元年度

男性の年間払込保険料が高い理由

男性の方が支払う保険料が高い理由として、以下のものが挙げられます。

  •  ● 世帯の中で家計を支えているケースが多く、万が一のことが起きて収入が下がったときの
       備えとして、保険に加入している
  •  ● 死亡保険の場合、平均寿命が女性の方が長いため。

死亡保険などの場合、保障内容や契約年齢といった条件が同じなら、平均寿命の長い女性の方が、平均寿命までの死亡率が低いとみなされます。そのことから、男性よりも保険料が安くなる仕組みになっています。

女性の年間払込保険料が高くなる商品も

 逆に、女性は男性よりも平均寿命が長い分、医療保険や個人年金保険の終身年金型などの保険料が高くなる傾向にあります。男性よりも長生きする傾向にあるため、男性よりも一生涯のうちに必要となる医療費が多くなることも原因の一つです。
 ちなみに生命保険の保険料は、純保険料と付加保険料によって決まります。付加保険料とは、予定事業率を基礎として計算されます。純保険料のうち、死亡保険料や生存保険料については、予定死亡率や予定利率を基礎として計算されます。そのため、女性の方が死亡保険の保険料は安い傾向にあり、逆に医療保険の保険料は高くなる傾向にあります。

年代別の年間払込保険料

年代別の年間払込保険料は、以下のようになっています。

年代別年間払込保険料

年代20代30代40代50代60代
男性14.7万円23.5万円23.2万円29.3万円21.0万円
女性11.4万円15.1万円15.6万円20.6万円17.4万円

表を見ると、年間払込保険料の平均は、男女ともに50代が男性29.3万円、女性が20.6万円と、最も高額になっていることがわかります。また、60代になると下がる傾向にあります。

30代から保険料が高くなっている

 上のグラフを見ると、30代から保険料が高くなっていることがわかります。30代になると、結婚や出産といったライフイベントにより、保険を見直す機会が多くなることが大きな理由でしょう。20代から比べると年齢が高くなっている分、保険料も高くなることが反映している点も理由の1つといえます。
 さらに50代では収入も増え、老後や介護などの不安を感じる人も出てきます。そのため、不安に備えて加入する保険を増やす方が増加することが理由として挙げられます。

60代の保険料が低くなっている理由

 60代から年間払込保険料が少なくなっている理由として考えられるのは、子育てを終え、死亡保障などの保障を見直して解約するケースが多いことです。一方で、60代になると、健康や身体面での不安が大きくなることもあり、がん保険や介護保険などを検討し始める方が増加します。ただ、生命保険は年齢によって保険料が異なるため、60歳からがん保険や介護保険に加入すると、保険料がかなり高額になることが予想されます。

若いうちからがん保険に加入するのも一つ

 がん保険はがん診断給付金として、100万円以上のまとまった金額が給付されるスタイルのものが多く、闘病中の生活費としても活用できます。そのためがん保険は60歳からではなく、闘病による失業や休職に備え、保険料の安い若い世代のうちに加入することも1つの考え方です。
 がん保険は一度がんに罹ると、加入や保険金支払いに条件が付いたり、加入できない傾向にあります。がん保険に未加入のままがんに罹患してしまい、その後がん保険に入れないといった後悔を避けるためにも、生活の防衛手段として加入しておくことをおすすめします。

世帯年収別の年間払込保険料

世帯年収別の年間払込保険料の状況はどのようになっているのでしょうか。以下に表でまとめましたので、参考にしてください。

世帯年収別の年間払込保険料

世帯年収年間払込保険料平均
12万円
未満
12~24万円未満24~36万円未満36~48万円未満48~60万円未満60万円以上不明
300万円
未満
43.6%31.0%12.2%4.2%1.8%2.3%4.9%15.9万円
300~500万円未満37.8%37.8%14.6%4.4%1.5%2.3%5.7%17.6万円
500~700万円未満32.0%30.1%18.5%7.2%2.9%2.1%7.2%19.6万円
700万円~1,000万円未満27.2%28.9%18.0%7.6%5.2%5.4%7.6%23.6万円
1,000万円以上23.9%23.4%17.4%12.9%8.5%8.5%5.5%27.9万円

出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和元年度

世帯年収があがるにつれ、年間払込保険料は高くなっていることがわかります。特に年収が700万円以上の世帯になると、月に約2万円程度の保険料を払っていることになります。

手取り月収の10%が保険料の目安

 一般的には、手取り月収の10%程度が保険料の目安と言われています。手取り月収が17万円なら、約1万7,000円が保険料の目安ということになります。
 保険を選ぶうえでの一つの目安になるのは年収です。ただ、一概に年収だけで決めることは難しく、加入する人のライフスタイルや家族構成、今後予定されるライフイベントなどによって、目安となる保険料は異なります。

ライフステージ別の年間払込保険料

ライフステージ別の年間払込保険料については、以下の表のとおりです。

ライフステージ別の年間払込保険料

ライフステージ年間払込保険料平均
12万円
未満
12~24万円未満24~36万円未満36~48万円未満48~60万円未満60万円以上不明
未婚38.6%28.6%14.9%6.7%1.6%2.7%6.9%17.4万円
既婚・子どもなし30.9%32.8%15.2%5.9%3.4%5.9%5.9%22.8万円
既婚・末子未就学児35.7%31.2%16.5%5.6%2.3%2.3%6.5%18.6万円
既婚・末子小学生34.1%32.5%15.5%8.8%2.5%2.2%4.4%19.4万円
既婚・末子中学生・高校生30.3%34.5%13.0%7.0%5.2%3.0%7.0%20.3万円
既婚・末子短大・大学・大学院生30.0%24.7%22.0%9.3%3.3%4.7%6.0%23.1万円
既婚・子どもすべて卒業(未婚)31.7%30.0%17.4%6.0%3.3%4.4%7.3%20.6万円
既婚・子どもすべて卒業(既婚)37.3%33.7%14.5%3.6%2.8%3.3%4.7%18.7万円

出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和元年度

 ライフステージ別にみると、「既婚・末子短大・大学・大学院生」が一番高く、年間払込保険料の平均額は23万1,000円です。そして、次に多いのは「既婚・子どもなし」で22万8,000円です。
 一方で、一番少ないのは「未婚」で17万4,000円、次いで「既婚・こども末子すべて卒業(既婚)」が18万7,000円という結果になっています。

子どもがいる世帯は保険料が高い傾向に

 子どもがいる世帯は、子どもの進学につれ保険料も高くなる傾向にあります。特に大学進学ともなると、教育費の負担が多くなる時期でもあります。その時期に世帯主に万が一のことがあった場合でも、子どもが安心して学校に通い続けられるような保障を用意していることが考えられます。そして子どもが卒業し、独立すると、不要な保障は解約していくため、保険料は安くなります。
 また、「既婚・子どもなし」世帯の保険料が高い理由として、以下のようなことが考えられます。

  •  ● これからの妊娠や出産を考慮した保障
  •  ● お互いに万が一のことがあった際の備えとして、医療保険の保障を充実させている

ライフステージに合わせて保険を見直す

 保険は一度加入して終わりではありません。ライフステージの変化に合わせ、都度見直すことが大切です。また、ライフステージが変化した後ではなく、今後のライフステージの変化を見据えて早めに取り組むことがポイントです。
 保険の見直しを面倒に感じ、見直しを行わない人もいますが、ライフステージによって本当に必要な保障は異なります。保険の見直しをすることで、以下のようなことが避けられるのです。

  •  ● 必要ではない保障に高い保険料を支払い続けている
  •  ● 本当に必要な保障をつけておらず、いざというときに保障されず、高額な医療費などを負担する

このような事態を招かないように、加入している保険は定期的に見直すようにしましょう。

生命保険を選ぶポイント

生命保険を選ぶポイントは、大きく分けて以下の3つです。

  •  ● 何に備えたいか(目的)
  •  ● 必要な保障期間
  •  ● 必要な保障額

これらのポイントついて、詳しく解説します。

何に備えたいか・加入する目的は何かを考える

 まず、何に備えたいのか、万が一のことがあった場合にどのような保障が必要になるのかを考えましょう。たとえば、下記のようなことを考える必要があります。

  •  ● 世帯主が亡くなったとき、その後の収入はどうなるのか、困る家族はいるか
  •  ● 万が一、病気やけがでしばらく働けなくなるような状態に陥った場合、その間の生活費や医療費を賄えるだけの蓄えはあるのか
  •  ● 教育資金や介護費用の備えは十分か

世帯主がなくなった場合は死亡保険が必要

 世帯主が亡くなった際の保障としては、死亡保険が挙げられます。家族がいる場合は、亡くなった後に家族が安心してくらしていけるような保障額を用意しておきましょう。

病気やけがの不安には医療保険や収入保障保険

 病気やけがで働けなくなった際の保障については、医療保険や収入保障保険を考えるとよいでしょう。病気やけがで働けなくなった際の保障は、会社員か自営業者かで内容が異なります。なぜなら、会社員の場合、働けなくなった場合であれば、健康保険組合から傷病手当金を受けられる制度が利用できるからです。
 しかし、自営業者が加入している国民健康保険にはそのような制度はありません。そのため、自営業者の場合は会社員よりも多くの保障が必要になるといえるでしょう。

教育資金・介護費用の不安に必要な保険

 教育資金や介護費用に対する不安には、学資保険や介護保険、個人年金保険が有効です。
 学資保険は将来必要になる教育資金を確保するための保険で、多くの場合18歳の満期時に満期金を受け取れる仕組みとなっています。また、契約者は親になるため、親に万が一のことがあった際にはその後の保険料の支払いが免除になるという特徴があります。

必要な保障期間はいつまでか検討する

死亡保険には終身保険と定期保険がある

終身保険定期保険
● 保険期間が一生涯続く
● 解約しない限り保障がずっと続く
● 解約時に解約返戻金を受け取れる商品が多い
● 保険期間は一定期間
● 保険料が比較的安く設定されている
● 保険期間終了後は更新するか、
ほかの保険に切り替えることを検討する必要がある

 死亡保険には、保険期間が一生涯続く終身保険と、保険期間が一定期間と決まっている定期保険があります。終身保険は、解約しない限り保障がずっと続きます。また、解約時に解約返戻金を受け取れるものが多いです。昔のような金利の高い時期に契約した終身保険の場合、払い込んだ保険料以上の解約返戻金を受け取れるケースもあります。
 定期保険は保険期間が決まっており、保険料が比較的安く設定されているという特徴があります。保険期間終了後は更新するか、ほかの保険に切り替えることを検討する必要がありますが、更新の際には保険料が上がるというデメリットがある点に注意しておきましょう。

どのくらい保障額が必要か検討する

 必要な保障額がどのくらいかを考えることも大切です。その際には、まず、公的な制度や、住宅購入時に加入した団体信用生命保険など、利用できる保障を洗い出してみましょう。そして、公的な制度や団体信用生命保険でも不足する場合は、その不足分に応じた保障額を設定することがポイントです。
 利用できる公的制度には、死亡した場合には「遺族年金」、病気やけがで入院した際には「高額療養費制度」があります。どのくらいの金額が保障されるのかを知っておくとよいでしょう。

保険の見直しで家族と家計を守る

 年間払込保険料については、世帯年収やライフステージによって異なることがわかりました。
 現在の状況や、今後を想定しながら保険を見直すことは、大切な家族と家計を守ることにつながります。面倒だからと、保険の見直しをしないでいると、万が一の時に家族に負担を掛けてしまいます。また、不要な保険に加入していた場合は家計を圧迫してしまうといったリスクを背負うことになります。
 自分で見直しができない、もしくは何を見直したらよいのかわからないという人は、FPまたは多くの保険商品を取り揃えている店舗など、複数の専門家に相談することをおすすめします。
 これまでに見直しを行っていない人や、見直しの必要性を感じている人は、ぜひ保険の見直しを行い、安心した暮らしを送りましょう。

新井智美/トータルマネーコンサルタント

この記事を書いた人
新井智美/トータルマネーコンサルタント

この記事を書いた人
新井智美/トータルマネーコンサルタント

コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績 は2,000本を超える。