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40代の貯蓄計画。みんなのお財布事情から家計を振り返ろう

家計/貯金

  • 投稿日:2022.10.05

 40代は、住宅ローンや子どもの教育費にまとまった費用が要り、自分たちの老後に向けた資金についても十分か気になる人が多い期間です。40代ではどのくらいの貯蓄があればいいのでしょうか。まずは、40代世帯の平均的な貯蓄額を知り、これからいくら貯めるか目標を決め、貯蓄をスタートさせましょう。

平均的な貯蓄額とは?

 職場の同僚やご近所の方とは、旅行の話や車などを買った話をすることはできても、貯蓄残高の具体的な金額を直接的に聞くことは難しいでしょう。同じ年代の方がいくら貯金をしているのか、直接聞くことができないときは、平均的な貯蓄額がいくらなのか、データから世間のお財布事情をのぞいてみましょう。

40代の平均的な貯蓄額

 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和3年調査結果」によれば、2021(令和3)年の40代の金融資産保有額の平均は916万円です。
金融資産保有額とは、現金や預貯金に加え、株式や債券、投資信託、保険などの残高を合算した額であり、不動産や貴金属など実物の資産を除いた金額です。今回は金融資産保有額を貯蓄額として解説します。
 貯蓄額は世帯の収入によっても変わります。下表は40代の収入別の貯蓄額です。平均値と中央値を記載しましたが、平均値はすべての方の資産額を合算して人数で割ったもの、中央値は上からと下からと数えてちょうど真ん中の人の資産額を現したものです。平均値は全体の中の1人の資産が多い場合に上がるため、中央値より平均値の方が金額は多くなります。平均値や中央値から世間のお財布事情の傾向がわかります。

40代の2人以上世帯の年収別金融資産保有額
年収平均金額中央値
0円181万円0円
300万円未満293万円0円
300万円〜500万円未満448万円110万円
500万円〜750万円未満961万円480万円
750万円〜1,000万円未満934万円490万円
1,000万円〜1,200万円未満1,453万円1,100万円
1,200万円以上3,577万円1,000万円
40代全体916万円300万円
【出典】家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和3年調査結果

40代の貯蓄割合と貯蓄が増えにくい理由

 平均的な貯蓄額は理解できた後も、貯蓄が増えにくいと感じることもあります。40代は毎月いくらくらい貯金をしているのでしょうか。40代の2人以上世帯の貯蓄している割合を知り、貯蓄が増えにくい理由を考えてみましょう。

40代の貯蓄割合

 40代の2人以上世帯の貯蓄割合は年間の手取り収入に対して12%が平均です。一例ですが、世帯の収入を合算した額面の金額が600万円、税金や社会保険料などを引いた手取り収入が480万円である40代の場合、年間で約60万円の貯蓄をしているという計算になります。60万円の貯め方は、毎月の給与から5万円の貯蓄をして12ヵ月で年間60万円を貯蓄している家庭もありますし、月々は3万円、賞与などの給与以外の収入から年に2回それぞれ12万円ずつ貯蓄し年間60万円としている家庭もあるでしょう。
 なお20代から40代までの2人以上の世帯は単身世帯より貯蓄割合が少なくなっていますが、これはパートナーと共に働いてはいるものの、子どもを育てるなどで支出が増えており、貯蓄割合が減っていることが原因と考えられます。

年間の手取り収入からの貯蓄割合
貯蓄割合20代30代40代50代60代70代
2人以上世帯17%14%12%12%10%7%
単身世帯20%16%16%12%9%9%
【出典】家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査][単身世帯調査] 令和3年調査結果

40代の貯蓄割合が低いのはなぜ?

 20代や30代と比較して、40代になると貯蓄割合が低くなるのはなぜでしょうか。それは、一般的なサラリーマンなどの給与所得者の場合、年収は20代や30代よりも40代になると高くなる傾向にありますが、その一方で40代になるとさまざまなことにお金が必要になってくるからです。
 40代は子どもの成長に伴い教育費の支出が増えることに加え、マイホームを購入して住宅ローンを返済しているケースもあり、教育費と住居費の2つの支出が必要な時期となります。フラット35の利用者の平均年齢が40.3歳であることから40代では毎月住宅ローンの返済があり、さらに30代で子どもを産んだ夫婦の場合は40代になると子どもが中学や高校に進学し、学校へ支払う学費に加え、高校受験や大学受験に向けた塾代が必要になることで教育費の支出は増えていきます。どのようなマイホームを購入するか、子どもにどのような進路を歩ませたいかに酔っても支出額は変わりますので、どのようなライフプランで生活するかをあらかじめ検討しておかなければ、教育費や住居費の支払いに追われてしまうことにもなります。

貯蓄を増やすための3つの方法

 40代は教育費や住宅ローンの支払いがあるから貯蓄が増えなくても仕方ないとあきらめずに、40代で貯蓄を増やす方法を考えていきましょう。貯蓄を増やすには「収入を増やす」「支出を減らす」「運用する」の大きく分けて3つの方法があります。それぞれの家庭で、できることを検討し、早速スタートしていきましょう。

収入を増やす

 まずは、40代の世帯収入を増やす主な方法のうち3つをご紹介します。
 1つ目は現在の勤務先より年収の高い勤務先に転職することです。
 2つ目は副業をすることです。勤務先が副業可能な場合、休日や夜間にアルバイトをすることができます。動画編集やライティングなど自宅でできる副業もあります。副業は自分が好きなことから見つけると長続きします。不動産などの資産がある場合は、資産を活用することで副収入を得ることも可能です。
 3つ目は配偶者など一緒に暮らす家族の収入を増やすことです。配偶者が専業主婦の場合はパートに出る、パート主婦の場合は働く時間の延長や契約社員や正社員に変わると世帯の収入が増えます。家族の働く時間が増えたときには、家事は他の家族で分担しましょう。

支出を減らす

 次に、40代の世帯支出を減らす主な3つの方法をお伝えします。
 1つ目はローンなど利息付き借りているローンの返済です。リボ払いやフリーローンなどは便利ですが、住宅ローンや教育ローンと比較し利率が高くなります。利率の高いローンから返済を行い、その後で住宅ローンの繰上返済をしていきます。ローン返済により支払利息が減らせるので、支出を減らす効果があります。
 2つ目は物やサービスを購入するときは即決しないことです。ワンクリックで物が変える時代ですが、品物が届いてからよく考えると必要なかったり、同じようなものを既に持っていたりすることもあります。買うかどうかを一晩考えることで不要な購入を回避できます。
 3つ目は支出を管理することです。40代は教育費や住宅ローンなどで支出が多くなりがちです。家計簿をつけておき、何にいくらの出費をしているかを把握することで、家計に無駄がないか確認ができます。家計簿はノートに書いても、アプリを活用しても良いでしょう。支出の見直しは、毎月支払う固定費から行い、減らした支出は貯蓄に回しましょう。

運用する

 最後に運用益を増やす主な3つの方法をご紹介します。金融機関へ預けても利子はほとんどつかない時代です。ここでは資産運用の経験が少なくても始めやすい主な3つの方法をお伝えします。
 1つ目は、NISA制度を活用した投資信託です。始めやすいのはつみたてNISAであり、毎月決まった額で投資信託を購入し、運用した利益からは税金が引かれません。
 2つ目は個人型確定拠出年金のiDeCoに加入することです。40代になると老後資金が足りるかどうかも気になってきます。iDeCoは毎月決まった額を60歳になるまで掛け、掛け金は60歳以降に受け取る仕組みです。掛け金の運用先は投資信託や預貯金、保険など選択ができます。
 3つ目は積立型の保険への加入です。保険会社には個人年金保険や終身保険など積立型の生命保険があります。計画的に老後の資金を準備するために保険の活用ができます。
 3つの資産運用をお伝えしましたが、資産運用は市場の動向等により元本割れをするリスクも伴います。

貯蓄を増やす3つの方法
収入を増やす・転職する
・副業する
・家族の収入を増やす
支出を減らす・ローンを返済する
・即決しない
・支出を管理する
運用する・積立NISAを始める
・iDeCoを始める
・積立型の保険を始める

貯蓄のゴールを設定しよう

 貯蓄を増やそうと思った時には、目標の貯蓄額をいくらにするのか貯蓄のゴールを決めます。目標があれば、途中であきらめることなく貯蓄が続けられます。
 既に何歳までに何のためにいくら貯めるという目標が決まっていれば、その目標に向かって貯蓄を進めていくことになりますが、まだ目標が定まっていない場合には、50歳までと65歳までの2つの貯蓄のゴールをまずは設定しましょう。貯蓄の重要性を感じ始めるのが40代といわれますので老後資金作りも兼ねておきます。65歳時点での目標にむかって貯蓄を行っていると金銭面でのストレスを抱えることがなく、老後を迎えられます。

50歳までに貯める額、65歳までに貯める額

 現時点で具体的な目標が定まっていない場合、50歳になるまでの貯蓄目標を2人以上世帯の40代の貯蓄の平均である916万円とし、年金受給年齢となる65歳になるまでの貯蓄目標を60代の貯蓄の平均である値の2,427万円とします。勤務先によって定年年齢や再雇用の年齢にも違いはありますが、65歳時点の目標額は、今後、受け取り可能な退職金や生命保険の満期金なども含めて考えます。
 老後には老齢年金を受け取ることができますが、60歳までの雇用形態によっても受け取れる年金受給額が異なります。老後に豊かな生活を望む場合には、老齢年金に加えて、貯蓄があると安心です。

貯蓄目標に向けた毎年の貯蓄額

 いつまでにいくら貯めるかの目標が決まったら、毎月いくらずつ貯蓄をしていくか具体的に数値化します。一例ですが、40歳時点で300万円の貯蓄がある人が、10年後の50歳になるまでに900万円の貯蓄を目指し、その後は65歳時点で3,000万円の貯蓄を目指すとします。
 まずは、40歳から50歳になるまでの10年間で600万円の貯蓄を増やすことになります。貯蓄額は年間に換算して60万円。毎月5万円の貯蓄となりますが、一部を賞与で貯蓄し毎月の貯蓄額を減らすことも可能です。
 次に、50歳時点で900万円貯蓄があるので65歳になるまでの15年間で2100万円の貯蓄を増やすことになります。65歳時点で受け取る退職金が840万円と仮定すると、差額の1260万円を15年間で貯めることになり、年額84万円、月額7万円を貯蓄に回すことになります。
 50歳以降も子どもの教育費負担がある家庭は、子どもが就職してから退職するまでの期間は老後資金の貯めどきとなります。

まとめ

 40代の平均的な貯蓄額を知り、40代では教育費や住居費などの様々な支出がある中で、貯蓄を増やすための収入を増やす方法、支出を減らす方法、運用で利益を得る方法をお伝えしてきました。40代になると老後資金を貯める必要性も感じ始めます。貯蓄目標は家庭により様々ではあるものの、目標とする貯蓄額を決め、月々にいくら貯蓄するかという目安を立て、金銭的なストレスを少なくし、より豊かな生活を目指していきましょう。

杉浦 詔子 / みはまライフプランニング代表

この記事を書いた人
杉浦 詔子 / みはまライフプランニング代表

この記事を書いた人
杉浦 詔子 / みはまライフプランニング代表

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント 2005年にCFP®資格を取得、2012年に「みはまライフプランニング」を設立。「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として働く人とその家族のキャリアプラン(生活)とライフプラン(家計)の相談と講義、執筆を行う。仕事や恋愛のコミュニケーションに関する支援にも対応。