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家計の支出を抑えたいときは固定費の節約から。項目別の見直し方法

家計/貯金

  • 投稿日:2022.09.14

 「できるだけ無駄遣いをしないように気を付けてはいるが家計が厳しい。」「あまり我慢したくないが、もっとお金を貯めたい。」このような悩みを抱える家庭では、日々の食費や日用品費を節約しても限界があり、どこから手をつけたらいいのかわからないという話を耳にします。まずは、毎月支払わなければならない固定費から節約することを考え、支出の見直しのポイントについて解説します。

家計の支出を抑える必要性

 家計の支出を抑えなければという気持ちになるのは、どのようなときでしょうか。
おそらく、毎月の家計が赤字になっていたり、赤字ではないが将来のためにお金をもっと貯めたいなど、家計を改善したいという気持ちから起きているのではないでしょうか。
 家計を改善するためには、「収入を増やす」と「支出を減らす」の大きく分けて2つの方法が考えられます。簡単に収入が増やすことができれば支出を抑えなくても、支出は現状を維持することで家計の改善は可能であり、悩む必要性は少なくなります。しかし、収入を簡単に増やすことは難しいので、支出を抑えることが家計改善に有効な手段となります。
 まずは我が家で支出を抑える必要性がある理由をもう一度振り返り、その後に支出を抑える方法を考えていきましょう。

家計の支出項目

 日常生活をするなかで、毎月、いろいろなものにお金を使っていることが分かります。例えば、毎日の食事や日用品の購入費、水道代や光熱費、スマートフォンなどの通信費、習い事や趣味にかかるお金など、家計には様々な支出があります。家計の支出は大きく「固定費」と「変動費」に分けることができます。まずはどの支出が固定費となり、どの支出が変動費になるのかを把握しましょう。

家計の固定費とは?

 家計の「固定費」とは、毎月または毎年、定期的に一定の金額を支払わなければならない費用を指します。具体的には、家賃や住宅ローン返済費、管理費や修繕費などの住居費、電気代やガス代、水道代などの水道光熱費、インターネットやスマートフォンを使用するための通信費、生命保険料や火災保険料などの万一に備える保険料、自動車を保有している場合には駐車場代や車検代、お子さんがいらっしゃる家庭は教育費、これらが家計の固定費です。

家計の変動費とは?

 もう一方の「変動費」とは、毎月支出はするものの、支出する額が月ごとに異なる金額となる費用です。具体的には、日々や毎週の買い物で使う食費や日用品費、病気やケガをしたときの治療費や薬代などの医療費、外出するときの移動手段となる交通費、洋服や靴やバッグなどの被服費、カットやパーマ、ネイルやエクステなどの理美容費、趣味の支出やイベント参加費などの娯楽費や交際費などが、家計の変動費です。
 友人や親戚の結婚式、出産祝いや法事などの冠婚葬祭費は、ある日突然お金が必要となる費用のため変動費とすることが一般的です。

固定費の例変動費の例
住居費
ローン返済費
保険料
水道光熱費
通信交通費
子どもの教育費
駐車場代や車検費用
サブスクリプション利用料
食費
日用品費
医療費
交通費
被服費
理美容費
娯楽費
交際費
冠婚葬祭費

家計の見直しは固定費から

 家計の見直しは、まず固定費の節約から考えていきます。その理由として、固定費は毎月一定額の支出であるため、一度見直しを行って支出を抑えることによって、その後は日々の努力をしなくとも節約効果がずっと続くからです。

住居費の見直し

 家計の固定費のなかでも、金額の大きいものが住居費です。テレワーク化が進み自宅で過ごす時間が増えたり、家族が増えたりなど、現在の住まいが手狭になったりする場合、新たな住宅の購入や、広い住まいへの借り換えなどで、住居費負担が増えることがあります。
 住居費は、賃貸料や住宅ローンの返済額に、管理費や修繕費などを加えた額が、収入の2割~3割程度が標準的です。住まいに関しては一人一人のこだわりもあるため、収入の3割で収まらないケースも出てきます。しかしながら、住居費が収入の多くを占める場合は見直しの必要があります。
 住居費の節約は賃貸住宅と持ち家では異なります。まず、賃貸物件に住んでいる方が住居費を節約するには、家賃を抑える必要があります。管理費や駐車場代なども含めて家賃が適正な支出であるかを確認します。自分や家族が住みたい物件に出会うと、多少予算をオーバーしても、利便性や物件の新しさで「ちょっとくらいはオーバーしてもいいか」となりがちですが、予算を5千円オーバーすれば、5千円分別の支出を抑えなければなりません。毎月の世帯の収入が30万円、ボーナス込みの年収が420万円の家庭の場合、家賃は7万円~10万5千円が家賃のおおよその目安です。家賃を抑えるには、築年数や駅からの距離、部屋の広さなど、多少条件を満たさなくても許容できる範囲であるか検討します。1人暮らしならルームシェアやシェアハウスに住み替えて家賃を安くすることが有効です。
 戸建てやマンションなどの持ち家に住んでいる方は、簡単に引っ越せないため、住宅ローンの見直しを行います。住宅ローンの支出を抑える方法として、「繰り上げ返済」を検討しましょう。毎月の住宅ローンの返済額の内訳には元本と利息があります。繰上げ返済により元本を減らすことで、利息の支払いも少なくなり、トータルの総返済額を少なくすることができます。
 なお、繰上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの方法があります。期間短縮型では毎月の返済額は変わりませんが、返済期間を短くすることでトータルの支払利息が少なくなります。返済額軽減型では返済期間は変わりませんが、毎月の返済額を減らすことができます。期間短縮型のほうが利息の軽減効果は高くなりますが、返済額軽減型を選択することで毎月の支出が抑えられます。

保険料の見直し

 万一に備えるため加入する保険は家計の固定費であり、生命保険、医療保険、がん保険、収入保障保険、自動車保険、火災保険、地震保険など、保険にはさまざまな種類があります。保険の見直しでは、現時点で自分と家族が加入している保険の種類と、支払っている保険料の額、万一の時にいくら保障されるかを振り返ります。重複して同じ種類の保険に加入している、万一の時に保険金を多く受け取るために多額の保険料を支払っているという場合には、保険の解約や見直しを行います。
 例えば、生命保険に加入している人が、住宅ローンを利用してマイホームを購入したとします。団体信用生命保険(団信)に加入すると、すでに加入している生命保険と保障内容が重複します。がん保障などの疾病保証付きの団信の場合には、生命保険や損害保険の特約部分と重複することもありますので、住宅購入時は保険を見直すタイミングであることを知っておきましょう。
 また、固定費節約のため保険に一切加入しないという選択は、近年の自転車保険の義務化などで難しくなってきました。保険は同じ保障でも加入する保険会社などにより支払う保険料が異なります。同じ保険で保険料を安くするには勤務先での団体扱いの保険に加入する、自動車保険などの損害保険であればインターネットで加入するなど割引制度活用も固定費を抑えるために有効です。

通信費や水道光熱費の見直し

 通信費や水道光熱費も固定費の代表です。電気やガスと同様にインターネットも日々の生活に手放せない必需品です。仕事やショッピング、健康管理やゲーム、音楽など、いつでもどこでも通信が必要だからと、スマートフォンやタブレットのデータ容量を増やし、自宅では固定回線のWi-Fi、外出に備えてポケット型Wi-Fiを持つことで、通信費が増えていることがあります。通信費を抑えるには支払っている通信料分を使用しているかのチェックをし、都度、適正な料金プランに切り替えます。使用料が少ない回線の解約や、キャリア変更、オンライン専用プランやサブブランド、格安SIMへ切り替えると固定費を抑えることができます。

 電気代やガス代などの光熱費は、電力やガスの契約会社や契約プランの見直しで固定費を抑えられます。電気の基本料金は契約のアンペア数を減らすと下がります。アンペア数を小さくしすぎると、テレワーク中にいきなり電源が落ちて作業データがなくなることも起きます。朝など自宅に家族がいる際に同時に使用する電化製品のアンペア数を合計し、適正なアンペア数を選択しましょう。
 電力会社・ガス会社・通信会社のなかには、電気・ガス・インターネットのセット契約ができる会社もあります。会社によっては、セット契約によって割引を受けられます。

サブスクの見直し

 最近、家計で無駄な固定費となっている使ってないサブスク。サブスクはサブスクリプションサービスの略で月や年単位など一定期間で定期購入するサービスです。サブスクには動画や音楽・ゲームなどのエンタメ系、ジムやエステなど美容健康系、定期購入の雑貨、外食や自動販売機などサブスク利用ができる時代です。
 利用頻度が高いサブスクは家計の節約にも有効ですが、通ってないジム、使っていないプレミアムサービス、見ていない本やビデオ、貯まっていく雑貨など、使っていないサブスクは解約しましょう。
 月額数百円のスマートフォンで簡単に申し込みができるサブスクは気軽に登録ができます。しかし月額300円でも年間3600円を支払っているのです。気付かないうちにサブスクに支払う額が積み上がっていることもあります。登録したときより利用頻度が下がってきたサブスクは解約を検討しましょう。

【参考】固定費の見直しの例
見直す固定費の項目(例)見直し方(例)
住居費賃貸住宅家賃を抑える。ルームシェアなども有効
住宅ローン繰上返済を行い総返済額を削減
保険料重複する保険、多額な保険の超過分は解約
通信費使用が少ない回線の解約、キャリアの変更
水道光熱費契約プラン変更、セット割引の活用
サブスクリプション利用料使わないサービスの解約

過度な節約はNG

固定費の節約は家計を改善しますが、節約の行き過ぎはNGです。

我慢し過ぎはストレスの元

 節約は家計改善に大切なことですが、暑い夏の日に節電だからとエアコンを使わなかったり、寒い冬の日に暖房器具を使わないことで体調を崩し、節約した光熱費よりも体調を回復するための医療費が高くなっては本末転倒です。ムダなものと必要なものは区別して管理しましょう。また、ムダな支出はしたくないと我慢に我慢を重ね、ストレスの反動で多くの買い物をするといったリバウンド消費をすると、これまで節約してきた努力がムダになってしまいます。節約は自分のストレスが少ないものを選ぶことも必要です。

家族に節約を強いない

 固定費を節約することは大切です。しかし、自分が節約を頑張れても、家族は節約をストレスに感じることもあります。そのような節約を家族に強いることで、家族関係が悪化してしまい、もっと大きな損失につながってしまうこともあります。固定費の節約は一緒に住まう家族の協力を得ることで効果があがるため、家族で話し合ってから、節約を開始しましょう。

まとめ

 家計の赤字の解消や貯蓄の増加を目的として、収入増が厳しい状況でも節約して支出を減らし、家計を改善するため、まずは項目別に固定費を抑える見直しから始めることをお伝えしてきました。
 固定費の節約は重要ですが、節約が目的となり生活が窮屈になってしまっては本来の目的から外れてしまいます。思い描く豊かな生活ため、家族と協力し無理なくできるところから節約を始めてみましょう。

杉浦 詔子 / みはまライフプランニング代表

この記事を書いた人
杉浦 詔子 / みはまライフプランニング代表

この記事を書いた人
杉浦 詔子 / みはまライフプランニング代表

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント 2005年にCFP®資格を取得、2012年に「みはまライフプランニング」を設立。「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として働く人とその家族のキャリアプラン(生活)とライフプラン(家計)の相談と講義、執筆を行う。仕事や恋愛のコミュニケーションに関する支援にも対応。