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貯金ができない30代夫婦は貯まる仕組みから!今から3,000万円貯める方法も

家計/貯金

  • 投稿日:2022.03.06
  • 更新日:2024.04.11

厚生労働省が発表している「令和2年(2020) 人口動態統計月報年計の概況」 によると、平均初婚年齢は夫31.0歳、妻29.4 歳となっており、30歳前後が初婚年齢となっていることが分かります。なかには、これからのライフイベントを考えるとともに、それに向けて計画的に貯蓄していきたいと考えている夫婦も多いのではないでしょうか。計画的に貯蓄するためには、どのような形でお金を貯めていくのか、自分たちに最適な貯蓄方法を考える必要があります。世帯主が30代の世帯平均貯蓄額は538万円であることから、まずは600万円前後の貯蓄額をめざして行動を開始してみましょう。

30代夫婦の平均預金額は538万円!金融資産保有額の中央値は400万円

総務省統計局が発表している「2020年度家計調査(貯蓄・負債編)」 によると、30~39歳までの二人以上の世帯(片働き世帯)の平均預貯金(通貨性、定期預貯金のみ)は538万円です。ただし、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」によると、30代夫婦の金融資産※1の保有額は中央値で400万円、そのうち8.2%が金融資産を持っていないと回答している点も見逃せません。さらに、実際は貯蓄だけではなく負債もあります。
30代夫婦の平均の年間収入は674万円、負債の平均額は1,337万円ですので、この数字から、結婚を機にマイホームを購入し、その返済を開始しているという背景も読み取ることができます。
※1:定期、普通預金等の区分はなく、運用や将来に備えて蓄えているものを指す

30代共働き夫婦の平均預貯金額は530万円

上で用いた総務省統計局の統計によると、30~39歳までの共働き世帯の平均預貯金額は530万円で、片働き世帯よりも8万円少なくなっています。共働き世帯は収入が多いものの、その生活スタイルによっては「毎月の支出額が片働き世帯よりも多い」という結果が反映されている可能性があります。そして、これこそが貯蓄額が低くなる落とし穴ともいえます。共働き世帯で収入があるからといって、外食や趣味などといった出費が多くなってはいないでしょうか。「共働き世帯だから片働き世帯よりも簡単に貯蓄ができるだろう」と考えるのは早計です。共働き世帯だからこそ、毎月の収支に無駄がないかを確認し、将来に向けた資金計画を立てる必要があることをしっかりと認識しておきましょう。

30代夫婦の貯蓄目標額は2,000万~3,000万円!?毎月どのくらい貯蓄に回すのが理想?

また、金融広報中央委員会の統計によると、臨時収入を含む年間手取り収入からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)の平均は13%ですが、この数値を見てやや少ないと感じる方もいるのではないでしょうか。一般的には年間の手取り収入の10~15%を目安に、貯蓄に回すのが理想と言われています。

ちなみに、同調査の平均手取り収入は30代で527万円です。その10~15%を貯蓄に回すと仮定すると、52万7,000円~105万4,000円程度が年間貯蓄額です。この計算で考えると、30歳の人が毎年100万円を貯蓄した場合、60歳までの30年間で3,000万円貯蓄できる換算です。この数値は片働き世帯の場合ですので、共働き世帯であればさらに貯蓄額を増やすことができるでしょう。ちなみに、30代夫婦共働きの平均年間収入は674万円です。そして共働き夫婦の場合、それぞれの貯蓄額の理想は年収の20%と言われていることから、134万8,000円の貯蓄が可能ということです。

もちろん、必ず理想の額を貯蓄しなければならないというわけではありません。自分たちの生活スタイルや今後のライフイベントを考慮しながら、無理のない資金計画を立てることが大切です。

30代夫婦の今後のライフイベントは?必要なお金はどのくらい?

結婚後、考慮しなければならないライフイベントとしては、「妊娠・出産、育児」「子どもの教育」「住宅購入」「老後」の大きく4つに分けることができます。では、それぞれに必要なお金はどのくらいの額になるのでしょうか。ここからは各ライフイベントにかかる費用の目安について紹介します。

妊娠・出産、育児

厚生労働省の資料 (平成23年度)によると、第1子出生時の母の平均年齢は30.7歳であり、妊娠・出産そして育児は30代で一番大きなライフイベントです。公益社団法人国民健康保険中央会がまとめた内容によると、妊娠から出産までの負担額の平均は50万5,759円です。ただ、出産の際には、加入している健康保険から出産一時金として42万円支給されることから、実質自己負担額は約9万円です。また、産休や育児休暇を取得する際には出産手当金が支給されますので、忘れずに申請するようにしましょう。そして、もう一つ忘れてはいけないのが、出産後のベビー用品の購入費用です。どのようなものをどれくらい購入する必要があるのか、事前にしっかりと確認し、準備しておくようにしましょう。

子どもの教育

子どもの教育費用については、文部科学省が発表している「平成30年度子供の学習費調査結果」によると、幼稚園から高校までの学習費については以下のとおりです。

幼稚園小学校中学校高等学校
公立22万3,647円32万1,281円48万8,397円45万7,380円
私立52万7,916円159万8,691円140万6,433円96万9,911円

※出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」

これによると、幼稚園から高校まで全て公立に進学した場合の学習費は、合計149万705円、逆に幼稚園から高校まで全て私立に通った場合の学習費は合計480万2,951円と、かなりの差になることが分かります。
さらに大学に進学する場合は、授業料だけで国立大学だと年間53万5,800円、公立大学で年間53万8,294円ですが、私立大学に進学するとなると平均で年間86万8,447円がかかります。そのうえ入学時の費用や自宅外通学などの場合であれば、その費用も考えておく必要があります。

住宅取得

住宅金融支援機構が公表している「フラット35利用者調査(2020年度)」によると、フラット35の利用者の平均年齢は40.3歳です。しかし利用者全体の約4割を30代が占めていることから、30代でマイホームを購入する家庭が多いことがわかります。一般的な住宅ローンの借入可能額は、世帯年収の5~6倍程度といわれているため、世帯年収が500万円であれば2,500~3,000万円程度が適正な借入金です。ただし、住宅ローンは高額な借り入れを行い、長期に渡って返済していくものです。毎月の返済額に無理がないように、頭金として物件価格の1~2割程度は準備しておくと安心です。

老後

老後の生活費として2,000万円が必要と言われた、「2,000万円問題」が記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。金融審議会の資料 によると、高齢夫婦無職世帯の家計収支は以下のとおりです。

【高齢夫婦無職世帯の家計収支】
収入20万9,198円
支出26万3,718円
▲5万4,520円

※出典:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

これは毎月の収支ですので、年間約65万円。60歳でリタイア後、90歳近くまで生きると仮定すると、約2,000万円が不足するという計算です。老後の生活をどのように送るかによって支出額も異なり、受給できる年金額や保有している資産によっても必要な老後資金の額は違うことを理解しておくことはもちろんのこと、ゆとりのある老後を送りたいと思うのであればなおさら、早めに老後資金の準備を始める必要があります。

30代夫婦のおすすめの貯蓄・金融商品は?

現在は超低金利の時代が続いており、普通に銀行に預金しているだけではなかなかお金を増やすことはできません。しかも物価は年々上昇しています。こういったことから、単にお金を貯めるという考えではなく、物価の上昇に応じてお金の価値を高めながら増やしていく工夫が必要です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、毎月掛け金を拠出し、自分で選んだ運用商品で運用を行い、60歳以降に受け取る私的年金です。毎月拠出する掛金は全額、所得控除の1つである「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、節税効果を生むことができるほか、通常であれば運用中に得た利益については20.315%課税される税金が非課税になります。さらに受け取りの際には一時金もしくは年金(両方の組み合わせも可能)を選ぶことができ、それぞれで退職所得控除もしくは公的年金等控除の適用を受けることができます。
原則として60歳まで引き出せないことがデメリットではありますが、毎月最低5,000円から拠出でき、掛け金の額も年に1度変更できます。税制優遇を受けながら老後の資産形成を行うには、最適の商品と言えるでしょう。

NISA

NISAは少額投資非課税制度のことで、2014年1月に始まった、個人投資家のための税制優遇制度です。毎年120万円を限度として非課税で運用できます。非課税期間は最大5年、最大600万円となっており、その後もロールオーバーを利用することで最大10年間、非課税で運用できます。100万円程度のまとまった資金があるのであれば、ぜひ活用してみましょう。ただし、他の口座と損益通算を行うことはできず、損失が出たとしても翌年以降に繰り越すことができない点には注意が必要です。

つみたてNISA

上で説明したNISAを、より初心者向けに提供しているのがつみたてNISAです。運用の3大原則とも言われる、「長期」「分散」「積立」が非課税で行える運用方法です。金額の上限は年間40万円までとなっており、20年間運用を続けることができます。しかも運用商品は販売手数料が無料、信託報酬が低い、分配金の支払い頻度が低いなどの基準をクリアした金融商品に限定されていることからも、安心して長期運用が行えます。

財形貯蓄

財形貯蓄とは、「勤労者財産形成促進制度」のことで、金融機関などと契約を結び、3年以上の期間にわたって定期的に積み立てていく貯蓄制度です。給与からの天引きとなるため、「使う前に貯める」ことが実践できます。この制度を利用することで、550万円までの利息に税金がかからないといった優遇を受けることができます。ただし、会社によっては取り扱っていない場合もあるため、利用したい場合は勤務先に確認するようにしましょう。

貯蓄型保険

民間の保険会社が販売している保険商品には、貯蓄型のものと掛け捨て型のものがあります。貯蓄型の保険には「終身保険」や「養老保険」などがあり、解約返戻金が設定されている点が特徴となっています。一方掛け捨て型の保険には、医療保険やがん保険などがあります。貯蓄型の保険は掛け捨て型の保険よりも保険料が高めに設定されている点が多いですが、万が一のことがあった場合は保険金を受け取ることができ、それを生活費などに充てることができるほか、急な出費が必要になった時には解約返戻金を担保に貸付を受けることができる点も覚えておきましょう。

家計や働き方も見直そう!

賢くお金を貯めるためには、上で紹介した金融商品を活用することはもちろん、日頃の家計の収支や働き方を見直すことも大切です。

固定費の見直し

家計を見直すにあたり、まず取り組んでいただきたいのが「固定費の見直し」です。固定費とは家賃をはじめ、光熱費や通信費、ローンの支払いなどです。これらの費用は支出の中でも大きな割合を占めることからも、一度見直すことで大きな節約効果を得ることができます。

支払い方法の見直し

「ポイ活(ポイント活動)」という言葉があるように、さまざまな支払いを現金や口座振替で行っている人は、ぜひクレジットカード払いに変更してみましょう。そうすることで、利用金額に応じたポイントを貯めることができ、貯まったポイントは商品に交換したり、キャッシュバックとして利用できたりもします。QRコード決済のペイ払いなど決済方法や払い方によっては、ポイントの2重取りもできるので、お得な活用方法を見つけていきましょう。

住宅ローンの借り換え

今よりも低金利の住宅ローンに借り換えることによって、毎月の返済額を減少させるほか、総返済額を抑えることもできます。ただし、借り換えの際には再度審査を受ける必要があることや、新規借り入れの時と同じように諸費用がかかる点には注意が必要です。借り換えを行う際には、各金融機関の公式サイトでシミュレーションが行えるようになっていますので、それらを利用し、本当に借り換えによる費用削減効果があるかどうかを確認してから行うようにしてください。

配偶者の社会保険の加入を検討

改正年金法により、2022年から厚生年金の被保険者の適用対象が拡大され、パートやアルバイトの方でも厚生年金保険に加入できることとなりました。厚生年金の保険料は労使折半といって半分は事業主が負担してくれることから、少ない負担で将来受け取れる年金額を増やすことができます。働き方を変えることによって厚生年金保険に加入できるのであれば、検討してみてもいいかもしれません。ただ、その分手取り収入が減ることになるため、働き方を変えることによって増える収入額と保険料負担額を比較して決めることをおすすめします。

生命保険の見直し

生命保険料の負担が家計を圧迫していると感じるのであれば、見直しを考えてみましょう。必要な保障額は、年齢や家族構成によっても異なります。お互い結婚前に加入した保険であったり、子どもが生まれたばかりの頃に加入した保険をそのままにしていたり、見直しをしていないご家庭も多いものです。加入した時から年数が経っている場合は、今後のライフイベントも考慮し、保障額が適切な額かどうかも合わせて見直すとよいでしょう。

まずは貯まる仕組みづくりから始めてみよう!

現在全く貯金がないという30代夫婦の方は、まず600万円を目標に貯蓄に取り組んでみましょう。最初は年間収入の10%から始めてみて、徐々に増やしていく方法も有効です。貯蓄は継続して行うことが大切です。無理な目標を設定して途中で挫折するといったことがないように、自分たちの生活スタイルに合った貯蓄の仕組みづくりを考え、実践していきましょう。

新井智美/トータルマネーコンサルタント

この記事を書いた人
新井智美/トータルマネーコンサルタント

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新井智美/トータルマネーコンサルタント

コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績 は2,000本を超える。