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30歳代の平均年収はどのくらい?中央値や年収アップの方法を解説!

給料/年収

  • 投稿日:2022.11.02
  • 更新日:2022.11.07
年収を確認する夫婦の画像

 30代は結婚、そして出産や育児とライフイベントが多く、人生の中でもお金がかかる時期です。安定した結婚生活を送るとともに、子育てするための費用や今後の教育費用のためにも、「もっと年収を増やしたい」と考えている方も多いことでしょう。本記事では、この年代の平均年収はどのくらいなのか、その基準を満たしている職種や業界にはどのようなところが多いのか、学歴や企業規模でどのくらいの差が出るのかを解説します。また、年収アップを狙いたい方向けにその方法も紹介するので、参考にしてください。

データから読み解く!30代の平均年収事情

30代の従業員の画像

 30代といっても、日本にいる30代の人口は約1,390万人にのぼります(総務省統計局調べ 2021年10月現在)。そのため、最終学歴やどのくらいの規模の企業で働いているかによっても年収は異なります。ここからさまざまなデータをもとに、30代の平均年収事情を解説していきます。

【学歴別平均年収】大卒、高卒…最終学歴でどのくらい変わる?

厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、学歴別で見る30代の平均賃金は以下の通りです。

【男女計】30代学歴別の平均年収
高校約383万円
専門学校約398万円
高専・短大約398万円
大学約430万円
大学院約538万円
※「平均月収 × 12 + 平均賞与76万円」で算出(厚生労働省「毎月勤労統計調査」より算出)
※出典URL:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査~学歴別にみた賃金」

高校と専門学校、高専・短大までは僅差であるものの、大学・大学院卒になると、年収に100万円以上の差が出ます。さらに年齢が上がるにつれ、その差は大きくなる傾向にあり、30代では高卒と大学院の平均賃金の差は200万円となりますが、年収がピークを迎える50~54歳になると高卒は約448万円、大学院卒は約809万円とその差は約360万円まで開きます。

【企業規模別平均年収】大手企業、中小企業…働く会社でどのくらい変わる?

 次に30代の平均年収を企業規模別で見ていきましょう。先ほどと同様に、厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」のデータによれば、企業規模別の30代の平均賃金は以下の通りです。

【男女計】30代企業規模別の平均年収
大企業中企業小企業
30~39歳約459万円約413万円約396万円
※「平均月収 × 12 + 平均賞与76万円」で算出(厚生労働省「毎月勤労統計調査」より算出)
※出典URL:
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査~企業規模別にみた賃金」

大企業や中企業、小企業を分類するための基準は、常用労働者が 1,000人以上を「大企業」、100~999人を「中企業」、10~99人を「小企業」としています。データを見ると、大企業と小企業の30代の平均年収の差は60万円ほどです。1年間だけの差であればそこまで大きな差ではないように思えますが、勤続年数が長くなるほど年収差は大きくなります。年収のピークといわれる50~54歳では、年収の差は115万円以上となります。

30代の平均年収は419万円!

年収を計算する電卓の画像

 では、30代全体の平均給与も確認しましょう。国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」によれば、正規雇用、非正規雇用含め30代の平均給与は約419万円となっています(30~34歳+35~39歳の平均給与を合計して算出)。

勤続年数別の平均給与
年齢平均給与(男性)平均給与(女性)平均給与(合計)
19歳以下146万円115万円129万円
20~24歳277万円242万円260万円
25~29歳393万円319万円356万円
30~34歳458万円309万円400万円
35~39歳518万円311万円437万円
40~44歳571万円317万円470万円
45~49歳621万円321万円498万円
50~54歳656万円319万円514万円
55~59歳668万円311万円518万円
60~64歳521万円257万円415万円
65~69歳421万円208万円332万円
※出典URL:国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」

 年代別の平均給与を見てみると、30〜34歳の平均給与が400万円、35〜39歳の平均給与が437万円となりました。また男女別で見てみると、30〜34歳の男性の平均給与は458万円で女性は309万円と、100万円以上の差があります。年齢が高くなるに連れて男女の平均給与の差は大きくなり、35〜39歳男性の平均給与は518万円で女性は311万円と、200万円近くの収入差が出てきています。
 では、男女差でここまで収入差が出るのはなぜでしょうか?男女それぞれの平均年収についても、詳しく解説していきます。

30代男性の平均年収

 同じデータによると、男性30〜34歳の平均年収は458万円、35〜39歳は519万円となっています。これらの平均年収を満たしている職種や業界には、どんなものがあるのでしょうか。
 全年代の平均額とはなりますが、電気やガス・水道、熱供給といったライフライン関連の企業や情報通信業といった業種になります。その他にも金融業や保険業なども、30代男性の平均年収を満たしています。しかし、企業や業務内容によっても年収は異なるため、他の業種に関しても一概に平均年収を必ずしも満たしていないとはいえません。

30代女性の平均年収

 次に、30代女性の平均年収を見てみましょう。30〜34歳の平均年収は309万円、35〜39歳は311万円となっています。前述の通り、男性の平均年収とは100万~200万円の差が大きく開いている状況です。なぜ、ここまで差が大きく開いてしまうのでしょうか。

 男女の収入差が大きくなる理由としては、30代男性は昇進・昇格によって早めにキャリアアップするとともに年収も上がりやすい年代であることが挙げられます。特に30代後半になると、男性は役職に就く割合が増加する傾向にあり、給与が上がりやすい結果となっています。
 一方で30代女性は、出産・育児と両立しながら働く人が多い年代です。正社員などの場合は8時間勤務から時短勤務に切り替えたり、パートやアルバイトとして短時間のみで働いたりするため、年収が上がりにくい傾向にあります。その結果、女性の30代前半と後半の平均年収は、ほぼ同額となっています。

30代の平均手取り年収はいくら?

年収のイラスト

 ここまでに紹介した「平均給与」は、「総支給額の平均」です。つまり、税金や社会保険料が差し引かれる前の金額となります。一般的に、税金や社会保険料などが差し引かれた「手取り年収」は、総支給額の約8割が目安とされています。前年度の年収や扶養家族のあり・なしによって多少変動することがありますが、30代の平均給与419万円の8割は約335万円となり、月収に換算すると約27万9,000円が手取りとなります。

リアルな年収を知りたいなら、30代の中央値もチェック!

 これまでに紹介してきた30代の平均年収は、計測する対象者の年収をすべて合計した上で対象人数で割る「平均値」です。しかし平均値を算出する際、中には同じ30代でも年収の高い人が含まれるため、平均年収を引き上げてしまい現実的な数値から遠ざかってしまう可能性があります。このように、平均値は年収が極端に低い・高い方が含まれることによって、数値が左右されやすいというデメリットがあります。

 平均値よりもさらに現実的な年収を知りたい場合、「中央値」を参考にするという考え方もあります。中央値とは、対象者の年収全体のほぼ真ん中の数字を導き出す方法です。厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査の概況」の30代男女別で見ると、中央値は以下の通りとなります。

30代の年収の中央値
男性女性
30~34歳(中央値)275.2万円236.1万円
30~34歳(平均値)305.9万円241.0万円
※出典URL:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査の概況」

中央値はこれまでに紹介してきた平均年収と比較すると金額が下がりますが、より現実的な金額を把握することができます。

中央値には管理職や役員などに就く、年収の高い男性は含まれません。そのため平均値と比較すると、30代男性の中央値の年収は比較的低くなっています。また女性の年収も、トータル的に低い傾向にあります。

男女雇用機会均等法が施行され、昔に比べて女性が活躍しやすい社会になったとはいえ、年収の中央値を見てみるとやはり依然として男女の差があることが分かります。

ちなみに日本人の平均給与は433万円!正社員だと496万円にアップ

 国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、年代を問わず給与所得者の1人当たりの平均給与は433万円(平均年齢は46.8歳)となりました。性別ごとに見てみると、男性532万円、女性293万円となります。正規、非正規などの雇用形態によっても年収差があり、正規雇用の場合、給与平均は496万円、非正規雇用は約176万円と大幅に下がることがわかりました。これらの数字からも分かるように、30代の平均年収は日本人の全世代における平均年収の金額に最も近く、平均的な水準となっています。

30代サラリーマンが年収をアップする4つの方法

キャリア・年収アップのイメージ

 紹介した30代の平均年収に自分の年収が到達しておらず、がっかりした方もいるかもしれません。では今後、年収を上げていくためにはどんな方法があるのでしょうか。ここから、4つの方法について紹介します。

今の会社でキャリアアップして給料を増やす

 年収をアップさせるための最も現実的な方法は、今働いている会社でキャリアアップを目指して年収をアップすることです。具体的には、社内でキャリアアップをするために資格を取ったり、マネジメントを学んで管理職を目指したりするのも良いでしょう。現時点で非正規雇用の場合は、正規雇用を目指すことも年収アップにつながります。会社でどのような実績を出せばキャリアアップできるのかなど、職場の評価基準を把握した上で着実に昇進できるよう生産性を高めながら仕事に取り組んでいきましょう。

転職して年収を上げる

 今働いている会社でキャリアアップが難しい場合は、転職して年収を上げる方法が一番の近道といえるでしょう。職種や仕事内容は同じだったとしても、職場を変えるだけで毎月数万円給与が上がるケースもあります。まずは、エージェントなどを利用して自分の市場価値がどのくらいなのかを分析してみましょう。
 しかし、給与が上がることだけに焦点を当てて求人を探すのは危険です。これまで培ってきたスキルを活かしながら、自分自身の成長が期待できる企業を選ぶと良いでしょう。また実力評価型の企業や、福利厚生や手当が手厚い企業を選ぶことで年収アップにもつながりやすくなるでしょう。

副業をして稼ぐ

 時間的な余裕があるなら、今の仕事を続けながら副業するのもおすすめです。2021年に株式会社パーソル総合研究所が、正社員20~59歳の男女を対象に副業に関する調査を行いました。その結果、副業を行っている正社員の割合は9.3%で、副業の内容については1位が「WEBサイト運営(ブログ運営、YouTuber)」(12.6%)、2位が「配送・倉庫管理・物流」(11.2%)、3位が「ライター・WEBライター」(8.6%)となりました。
※出典URL:株式会社パーソル総合研究所「副業に関する調査結果・個人編」

 副業の一例としては、文章を書いたり何かを発信したりするのが得意な場合「webライティング」や「ブログ運営によるアフィリエイト」、写真のクオリティに自信があるなら写真販売、動画編集が得意ならYouTuberの代わりに動画を編集して稼ぐという方法があります。

 また、副業を行う上では注意点もあります。一般的な企業に所属しており、年末調整を行う会社員の場合、副業の収入・所得の合計が年間20万円以上となると別途、確定申告が必要です。さらに所属している企業によっては、就業規定で副業が禁止されているところもあるため、始める前に就業規定をしっかりと確認しておくようにしましょう。就業規定で禁止されている副業を行っていたことが発覚すれば、最悪の場合、解雇される可能性もあります。

まずは自分のスキルや職場環境を分析してみよう

 30代の平均年収を下回っている方は、平均年収を超えることにこだわりすぎて、転職や副業で失敗してしまう可能性があります。中には副業を始めるために、高額な講習料や教材費を請求してくる業者もいるため注意が必要です。安全に、そして着実に年収をアップさせるためにも、今の自分が持つスキルを見直したり、興味があることなどで収入を得られないかなど、さまざまな視点から収入を上げる方法を考えてみましょう。

中島 翔/CWC株式会社代表取締役

この記事を書いた人
中島 翔/CWC株式会社代表取締役

この記事を書いた人
中島 翔/CWC株式会社代表取締役

日本証券アナリスト、ファイナンシャルプランナー。 あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワード、オプショントレーディングに従事。その後国内大手仮想通貨取引所Coincheckでトレーディング業務、新規事業開発に携わり、NYのブロックチェーン関連のVCを経てCWC株式会社を設立。