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放置したままの銀行口座は今すぐ解約を!休眠預金はデメリットしかない!?

家計/貯金

  • 投稿日:2022.03.09
  • 更新日:2022.03.25

長い間、使っていない銀行口座を持っている方はいませんか?引っ越し先で銀行口座を作ったものの、その地を離れたら利用する機会がなくなり放置している、または親が子ども名義で銀行口座を作ったけれどその後不要になってしまったなど、さまざまな理由から使っていない銀行口座を所有している方は意外と多く見受けられます。

ひと昔前までは、このような放置口座があっても特に問題はありませんでしたが、最近は放置口座を所有することにデメリットしかありません。そこで使っていない銀行口座を持ち続けるデメリットをはじめ、銀行口座を解約する方法も紹介。使っていない銀行口座を持っている方は、この記事を読んで今すぐ解約しましょう。

銀行口座を解約せずに放置するとどうなる?

使っていない銀行口座を解約せずに放置してしまうと、一体どうなるのでしょう?まずは簡単にご説明しましょう。

銀行口座を10年以上放置すると、預金が引き出せなくなる?

「休眠口座」という言葉を聞いたことはありませんか?

2016年12月に「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(通称:休眠預金等活用法)」が成立しました。これに伴い、原則2009年1月1日以降の取引から10年以上取引のない預金は、社会課題の解決のために活用されることになりました。要するに、この預金を使って、民間団体が行うさまざまな活動を支援しようというものです。

この10年間まったく動きのない口座のことを「休眠口座」といい、その休眠口座に預けられている預金のことを「休眠預金」といいます。休眠預金等活用法は2018年1月1日から施行されており、2019年1月から休眠預金が発生しています。

ちなみに、2019年1月時点ですでに10年経っている預金は、「休眠口座」の対象外となります。2019年1月時点で10年よりも長い期間、例えば15年や20年以上経っている預金は、最後の取引が2009年1月より前になるため休眠預金には該当しないというわけです。

また内閣府「休眠預金等活用審議会」の資料によると、休眠口座の発生金額と発生口座数は以下のとおりです。

発生金額発生口座数
2017年3月期1,270億円879万口座
2018年3月期1,308億円955万口座
2019年3月期1,278億円971万口座

※出典:内閣府「休眠預金等発生額の推移」

日本は高齢化社会が進んでいる背景もあり、2017~2019年の3年間だけを見ても、年々、休眠口座の金額と口座数が増えていることが分かりますね。

とはいえ、休眠口座があっても、金融機関からの通知を受け取るなど所定の条件をクリアできれば、すぐに休眠預金になってしまうわけではありません。また休眠預金になった場合も、取引のあった金融機関で引き出すことは可能です。それでも、知らないうちに休眠預金になってしまっていたらと思うと、心配になりますよね。

そもそも銀行口座には「消滅時効」というものがあります。金融機関に預けたお金を一定期間、払い戻し請求しないとその権利が消滅します。その消滅時効は銀行で5年間、信用金庫や信用組合などで10年間です。しかし消滅時効があるとはいえ、ほとんどの金融機関がその後でも払い戻しに応じてくれるようです。

注意!ゆうちょ銀行の場合は異なる

この消滅時効ですが、ゆうちょ銀行の場合は少し長くなる点に注意しましょう。

ゆうちょ銀行は、2007年10月1日に郵政民営化が実施されたことにより誕生しました。郵政民営化前の2007年9月30日以前に預けた貯金は、満期後20年2カ月を経過しても払い戻し請求がない場合、その権利が消滅して払い戻しが受けられなくなります。

上記以外のケースで、最後の取引日から10年が経過すると他の金融機関と同様、ATMやゆうちょダイレクトの利用ができなくなるとのこと。ただし払い戻しは可能なので、消滅時効の違いにだけ気を付けましょう。

デメリットばかり!?使っていない銀行口座は解約すべきか?

休眠預金になっても引き出せるとはいえ、使っていない銀行口座を持ち続けてもデメリットしかありません。ここから、今すぐ解約した方がいい理由をお伝えします。

残高1万円以下で使っていないと、手数料を取られる

最近では、残高が1万円以下の銀行口座を放置すると「未利用口座管理手数料」を徴収するという金融機関も増えてきています。

りそな銀行では、最後の預け入れまたは払い戻しから2年以上、一度も取引がない普通預金口座を未利用口座として扱い、年間1,320円の口座管理手数料がかかります。

また三井住友銀行では、2021年4月1日以降に開設された口座のうち2年以上、入金や振り込み、払い戻し等がない普通預金口座は未利用口座となり、年間1,100円のデジタル未利用手数料が対象口座から引き落としされます。

いずれも残高が1万円以上あれば対象外になるなど、免除の条件はありますが、銀行にお金を預けているのに、利息が増えるどころか手数料が取られてしまうようでは本末転倒といえるでしょう。

今後、口座維持手数料を支払う必要が出てくる可能性も

多くの金融機関で、未利用口座に対する手数料や紙の通帳の発行手数料がかかるようになってきました。しかし今後は、口座維持手数料も導入される可能性があります。口座維持手数料とは、口座を利用する人から徴収する手数料のことです。一定の条件により免除されることもありますが、海外ではすでに導入されている国もあるので、今後の動向に注意を払いましょう。

使っていない口座を持っているとお金が減ったり、紙の通帳を発行するたびに手数料がかかったりします。利用していない銀行口座は、すぐに解約すべきであるという理由がお分かりいただけるでしょう。

不正利用や犯罪に使われても気づきにくい

振り込め詐欺といった犯罪利用口座として使われた場合、普段使っている銀行口座なら気づきやすいものですが、休眠口座だと気づかないケースも。知らないうちに、犯罪に巻き込まれることも考えられます。

休眠口座は管理できていない口座ですから、休眠口座を持つことによるデメリットは計り知れませんね。

銀行口座解約の手続き方法

ではここからは、使っていない銀行口座の解約方法についても確認しておきましょう。休眠口座になる前に、しっかり手続きをしましょう!

取引店以外でもOK!最寄りの支店で手続きする

金融機関によって異なりますが、銀行口座を解約したい時は、多くのケースで口座を開設した支店(取引店)でなくても最寄りの支店で対応してくれます。

持ち物は原則、キャッシュカード、通帳(Web通帳の場合は不要)、届け印、本人確認書類となります。特に届け出印は、他の印鑑と間違いのないよう日ごろから保管方法を考えておきましょう。

忘れ物があると二度手間にもなります。持ち物は、各金融機関のホームページなどで最新情報をチェックしておくと安心です。

カードや通帳、届出印のいずれかを紛失した場合

銀行口座を解約しようと思ったものの、カードや通帳、届出印のいずれかを紛失してしまっていたケースはよくあることです。そんなときは、最寄りの支店で喪失届を出してから解約の手続きを進める方法が一般的です。

金融機関によっては、顔写真付きの本人確認書類を提出すれば、その場で解約届も出すことができる場合がありますが、喪失の手続きが完了してから後日の解約になることも。顔写真付きの本人書類がない場合は、健康保険証などを利用してから後日の解約となり、手間がかかることがあります。

こちらも金融機関によって手続きの詳細は異なるため、各金融機関のホームページなどから最新の情報を確認しましょう。

管理の手間も省けて休眠口座のリスクも軽減!使わない銀行口座は解約を

使っていない銀行口座を解約すれば、管理の手間がなくなるうえ、紹介してきたようなリスクも軽減できます。用途によって銀行口座を使い分ける方法もありますが、口座が多すぎて管理できなくなるのも、口座が少なすぎて不便を感じるのも考えものです。使っていない銀行口座は積極的に解約したいものですが、口座を解約しすぎるデメリットもあります。両者のバランスを考えながら、適正な数の口座を持つように心がけましょう。

平塚千晶(あき)/家計簿・家計管理アドバイザー

この記事を書いた人
平塚千晶(あき)/家計簿・家計管理アドバイザー

この記事を書いた人
平塚千晶(あき)/家計簿・家計管理アドバイザー

AFP、マネーライフプランナー、住宅ローンアドバイザー。自身が3人の子をもつ母であるため、特に教育費、家計簿、家計管理に関する家計相談を得意とする。キャッシュレスや家計簿アプリなどの分野にも精通し、テレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力、著書に「スマホでもできる あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」などがある。