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つみたてNISAが20年後に暴落したらどうする?その対応方法を紹介します

投資

  • 投稿日:2022.03.09
  • 更新日:2022.03.25

投資の利益に対して、開始から20年間非課税となる特別な制度として誕生した「NISA」。中でも無理のない金額で始める事のできる若い世代を中心に人気があるNISAが「つみたてNISA」です。

今回は、つみたNISAの概要や、積立をした場合のシミュレーション、非課税期間が終了する20年後に暴落した場合の対応方法などを紹介します。

つみたてNISAは最大20年間非課税となる

つみたてNISAの最大の特徴は、年間40万円の積立金額であれば、最長で20年間はいつ売却してもそれまでの利益に対する税金がかからない点にあります。

さらに毎月の積立も100円から始める事ができ、運用商品を選択するだけで毎月自動的に積立が行われます。そのため、投資初心者にとって始めやすい投資商品の一つといえます。

その始めやすさから若い世代を中心に人気を集め、21年6月末のつみたてNISA口座数は262万口座と前年より52.0%と急激に増加しており、その85.7%が投資未経験者です。

※出典:NISA口座開設・利用状況調査結果 (2021年6月30日現在)について

株式投資や積立ではないタイプのNISAと比べて、低リスクとはなります。ただし、投資商品であるため元本は保証されず、資産額は変動する点について覚えておきましょう。

20年間積立をした場合のシミュレーション

「つみたてNISA」を検討されている多くが投資未経験者であるため、20年間の積立投資をした場合に資産がどの程度増えるのか検討がつかないと思います。

そこで、次に20年間に渡り「つみたてNISA」で積立をした場合のシミュレーションしてみましょう。

毎月5千円・1万円・3万円を積立する場合

今回は、毎月5千円・1万円・3万円を積立する場合のシミュレーションをしてみます。
利回りは1%・3%・5%・8%の4つのパターンです。

積立額想定利回り20年後の資産積立元金元金との差
5千円1%132.7万120万12.7万
3%164.1万44.1万
5%205.5万85.5万
8%294.5万174.5万
1万円1%265.5万240万25.5万
3%328.3万88.3万
5%411.0万171.0万
8%589.0万349.0万
3万円1%799.6万720万79.6万
3%984.9万264.9万
5%1,233.1万513.1万
8%1,767.0万1,047.0万

金融庁「資産運用シミュレーション」をもとに計算

長期で積立てる事で毎月3万円積立をすると、3%の平均利回りで1,000万円近く貯める事ができます。同等の額を定期預金で貯めるより、資産の増加を期待できるでしょう。

目標金額からシミュレーションもできる

また、積立投資は目標額からシミュレーションすることもできます。

1,000万円を貯めたい場合のシミュレーション

例えば、1,000万円貯めたい場合は、金融庁のシミュレーションサイトで「何年間積み立てる?」のメニューを選択することで、目標額からシミュレーションできます。

例えば、目標額が1,000万円で毎月1万円を3%で積み立てた場合は、41年10ヶ月もかかります。

積立金額を3万円に増やしてみると、20年3ヶ月で1,000万円に到達することがわかります。

2,000万円を貯めたい場合のシミュレーション

次に2,000万円を貯蓄したい場合を説明します。

同じように金融庁のシミュレーションサイトで計算すると、毎月1万円を3%で積み立てた場合には、59年10ヶ月、毎月3万円を3%で積み立てた場合には、32年9ヶ月かかるという事がわかります。

目標額を設定する上で注意したいこと

目標額を設定する上で気をつけたいのは、以下の2点です。

● 目標に届かないからと無理をして、積立金額を多くする
● 利回りが高いほど資産は増えやすいが、リスクも高い

つみたてNISAはほかの投資商品に比べてリスクが低いですが、投資商品であるため元本の保証はされていません。また、ほかの投資商品と同じように、利回りが高ければ高いほど、その分リスクも高くなることを忘れないようにしましょう。投資は無理のない範囲で行うことが大切です。

20年間の非課税期間が終了したらどうなる?

つみたてNISAの非課税期間は20年間となっていますが、非課税期間が終わった後も強制的に解約されるわけではなく、自動的に課税口座に移行します。

また、必ずしも20年間投資をしなければならないわけでもなく、途中で解約する事も可能です。

20年後につみたてNISAが暴落した時はどうする?

つみたてNISAを利用するにあたり、もっとも気になるのが20年後の非課税期間が終了するタイミングで、選択した投資商品が暴落した場合ではないでしょうか?

そこで、いくつか考えられる対応策を解説します。

課税口座に移行して運用し続ける

どんな投資商品にも当てはまることですが、一直線に価格が上がり続けるということはありません。価格上昇の過程で必ず下落する局面もあり、時には暴落と呼ばれるほど価格が落ち込むこともあります。仮につみたてNISAで貯めている資産が目減りしたとしても、慌てずに相場の回復を待つのが得策です。

実際にリーマンショックの時なども大きな経済的ダメージを被り、様々な投資家の投資信託が元本割れを起こしました。ですが、10年も経たずにリーマンショック以前の水準を超えています。

特にこれから結婚をしたり、家を購入する方は、つみたてNISAの非課税期間が終了した後でも運用を続け、住宅購入などのまとまったお金が必要なタイミングで現金化するとよいでしょう。

ただし保有資産額が減少していて、非課税期間終了後に価格上昇した場合はその利益に対しては課税をされるという点には注意が必要です。

売却して現金化する

積み立てている資金を必要とする時期が間近に迫っている場合は、売却して現金化することも対策の一つです。

金融商品を扱うトレーダーには「損切」という言葉がありますが、あらかじめ投資資産が-X%になったら現金化を行うなどのルールを決めておくとよいでしょう。

また、ご自身のライフプランに合わせた資金計画をあらかじめ立てておくなど、ライフプランに合わせた売却プランを検討しておくことをおすすめします。

iDeCoで積立をする

つみたてNISAに代わりiDeCoで運用することもオプションの一つとなるでしょう。iDeCoにも運用益が非課税で掛け金を控除できるメリットがあり、資金に余裕がある人はつみたてNISAとiDeCoを併用して運用する方法もあります。

ただし、iDeCoを利用する場合は、iDeCoは60歳まで引き出すことができない点に注意しましょう。そのためiDeCoに関しては、完全に老後資金用の運用だと考えて利用する必要があります。

株式投資や投資信託など、他の投資商品に投資してみる

つみたてNISAで購入可能な投資信託は、株式を主体とした投資信託が多いですが、それが暴落しているということは金融商品全体が暴落しているということになります。長期的な運用を前提とする投資の場合、金融商品が値下がりしている時は買いのタイミングといえます。

そこで、つみたてNISAの資産評価額が下がったタイミングで解約し、それから少し待って株式投資や投資信託など他の投資商品に投資してみるのも一つの手段です。

しかし、当然つみたてNISAに比べてリスクのある商品もあり、その点には注意が必要です。その為にも、つみたてNISAの運用を体験しつつ、経済の動向をキャッチしたり、投資の勉強をしながら、投資に慣れておくとよいでしょう。

つみたてNISAは計画性をもって運用しよう

積立資産が値下がりしても慌てないことが大切です。なぜならこれまでも何度も株価の暴落などは発生していますが、時間が経つにつれ回復することが多いためです。

つみたてNISAを利用する上では、20年後について考えることも重要ですが、計画性が必要な貯金方法であることを忘れないことです。その上で、いくら積み立てられるのか、何年後にいくら貯めたいのか考えることが大切です。

そのためにも自分のライフプランをしっかりと立てて、現在手元にある資金や生活費を確認しつつも、必要な資金をよく検討し、タイミングを見て売却するタイミングをあらかじめ考えておきましょう。

中島 翔/CWC株式会社代表取締役

この記事を書いた人
中島 翔/CWC株式会社代表取締役

この記事を書いた人
中島 翔/CWC株式会社代表取締役

日本証券アナリスト、ファイナンシャルプランナー。 あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワード、オプショントレーディングに従事。その後国内大手仮想通貨取引所Coincheckでトレーディング業務、新規事業開発に携わり、NYのブロックチェーン関連のVCを経てCWC株式会社を設立。