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投資信託で大損する人の特徴とは?正しくリスクを理解することが大事

投資

  • 投稿日:2022.03.09
  • 更新日:2022.03.25

老後の必要資金や年金額の減少などから、これまで投資の経験がなかった人も投資に関心をもつようになった人もいるのではないでしょうか。しかし、投資する金融商品には価額の変動がつきものです。ここでは、投資信託で大損してしまう人、大損を避けるにはどうすればよいか、万一大損してしまった場合はどのような対応ができるかについて紹介していきます。

投資信託とは

投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資して運用する商品です。その運用成果がそれぞれの投資額に応じて、分配される仕組みとなります。

集めた資金をどのような対象に投資するかは、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。投資信託の魅力は株式投資と比べて少ない資金から始められ、自分自身で売買する必要がなく、専門家が運用してくれるところです。しかし投資商品であるため、投資した金額が保証されるわけではなく、損をしてしまう可能性もあります。今回は、どんな人が損をしてしまうのか、損をしないために気をつけることについて説明します。

投資信託で大損しないために、よくある失敗例を紹介

自分の大切なお金で投資信託を購入したのだから大損は避けたいところです。投資信託で大損してしまう人にはある傾向が見られます。その例を見ながら、どうすれば大損を免れるのかについて確認しましょう。よくある失敗例から学ぶことで、リスクを避けられることもあります。

自分で勉強せずに購入してしまう

一番よく見られるのが、投資信託の商品をよく理解しないで、人から勧められるままに購入してしまうケースです。投資信託には、商品別に株式型や債券型、それらが混合されたバランス型とよばれるものがあります。さらに投資先別でも国内型、海外型などさまざまな種類があります。このように商品の種類によって、特徴や値動きの幅は異なります。これらの商品の特徴を理解せず他人から勧められたまま購入すると損をする可能性があります。

一括購入している

投資信託に含まれている株式や債券の価格は変動します。そのため、投資信託そのものの価格も上下します。このように常に元本が上下に動いている投資信託を一括購入すれば、購入後に投資信託が上がったときはよいですが、下がった場合には大きな損をしてしまうことになります。金融商品によって上がり下がりのタイミングが異なりますので、一つの銘柄を一括で購入したり、一度で手元の資金を全て使いきってしまうのはおすすめできません。

定期的に見直しをしていない

投資信託は経済状況などによって、値動きの幅も価格の上下のサイクルも変わります。ですので、購入したらそれで終わりというわけではなく、自分が保有している投資信託をこのまま持ち続けるのか、別の商品に買い替えるのかを、定期的に見直す必要があります。

このような見直しを怠ってしまうと、知らない間に経済環境がかわって損失をかかえることにつながります。また、自分自身のライフスタイルが変わればライフプランも変わります。急な転勤や結婚、出産などで思わぬ出費が必要になる場合もあります。必要な手持ち資金を管理していなければ、投資商品を減らしたほうがよいのか、など判断できなくなり家計に影響してしまいます。

手数料などの仕組みを理解していない

投資信託は購入時や売却時の手数料とは別に、保有している限り必ず手数料がかかります。この手数料は、購入した商品によって異なります。直接支払うのではなく、保有している投資信託の基準価額から差し引かれます。この仕組みを理解していないと、思ったように資産が増えていなかったということになる可能性があります。

投資信託で損しないために必要なこと

投資信託で損をしてしまうケースについて紹介しました。ここからは、失敗例を参考に、投資信託で損しないためにできることを紹介します。

投資をする目的や期間を明確にする

投資信託を始める前に必ず投資をする目的や期間、ルールを決めておくことが大切です。投資信託は債券や株式を組み入れた金融商品ですから、大幅に上昇するときもあれば暴落するときもあります。暴落すると冷静ではいられなくなり、慌てて損切り(※)をしたり、損失を埋め合わせるためによく調べないで別の商品を購入してしまいがちです。目的と、期間やルールを決めておけば、大幅に下がったときも、価格が上昇するまで待つなど冷静に対応できます。

※損切りとは、損失が生じている投資商品を見切り、売却をして損失を確定させること

分散投資をする

購入するときは「商品の分散と時間の分散」を心がけることが大切です。一つの商品を一括で購入するのではなく、値動きの違ういくつかの商品を購入しておくことです。これは分散投資といい、一つの商品が下がっても、もう一つの商品が上昇しているので損失回避につながり焦らずにすみます。購入するタイミングもずらすほうが望ましいでしょう。相場環境は毎日変化するので一括で購入するのではなく、購入のタイミングを複数回に分ける(ドルコスト平均法といいます)ことでリスク分散にもつながります。

運用報告書を積極的に活用する

運用報告書を積極的に活用することも大切です。運用報告書とは、原則的に投資信託の決算を迎えるごとに作成され、投資信託を保有していれば送付されます。毎月決算型(毎月分配型)といわれる投資信託では、6ヶ月に1度と法令に定められています。

最近では運用会社のホームページで、「月次報告書」という1カ月ごとの運用成果や投資環境がわかりやすく掲載されていることが多いので確認しやすくなりました。見るべきポイントは、1カ月間で上がったのか下がったのか、どうしてそうなったのかというところです。

ポートフォリオを組む

運用ポートフォリオを組むことは、リスクを抑えるために必要です。ポートフォリオというと、なんだか難しそうに思えるかもしれませんが、「どの金融商品をどのくらい保有するか」という組み合わせのことです。最初に決めた投資の目的や目標の利益額を達成するために、適切なポートフォリオを決めておくと、行き当たりばったりではなく計画的な運用ができます。ポートフォリオを見直すときも、どの商品を売却してどの商品と入れ替えるのかが分かりやすくなります。

手数料の安い商品を選ぶ

投資信託は商品によって手数料がかわります。できるだけ手数料の安い商品を選べば、手元に残る利益が大きくなります。投資信託を保有している限り、差し引かれる手数料(信託報酬といいます)は損をしていてもかかりますから、できるだけ低く抑えておきたいものです。

購入した投資信託が下がってしまったら

投資信託はどんなに計画的に行なっていても、経済状況などによって価格が変動するため、値下がりをして損をすることはあります。大切なのは、下がってしまったときに冷静に行動することです。できる主な対策は損切りをすることと、長期的な運用です。それぞれについて解説します。

損切りをする

損切りをして、大損するのを避ける方法があります。購入した投資信託が値下がりした場合は、どこかで決着をつけることも必要です。日頃から自分の手持ち資金や今必要なお金を把握しておくことが大切です。どこで損切りをしておくか事前に決めておけば、冷静かつ迅速に判断できます。

長期的に運用する

2つ目は長期的な時間感覚で運用することです。金融商品は下がることもありますが一時的に値下がりをする場合もあります。その場合はある程度下落したら、上昇に転じることもあります。長期的に様子を見る方法もあります。値下がりした理由が見つからない場合には、そのまま様子を見てもよいかもしれないこともありますので、今の家計を圧迫するものではないというのであれば、保有を続けておくことも検討しましょう。

リスクをどのように捉えるかが大切

投資信託は元本が保証されていない商品なのでリスクはつきものです。ただし、投資信託のリスクは危険という意味ではなく、価格の変動を伴う、ということです。また、そのリスクをどうとらえて行動するのかが重要です。何も対策をしないままに大損をしてしまえば、「投資=危険」という印象だけが残り、資産を減らしてしまったという苦い経験で終わってしまいます。

どこまでリスクを許容できるのか、目標額を達成するためにどう戦略を立てていくかを明確にしておけば、落ち着いて運用に向き合うことができます。投資信託に興味がある人は、まずは投資信託のリスクを把握して、許容範囲内の余裕資金からはじめてみてはいかがでしょうか。

最近ではつみたてNiSAなど、初心者の人でもはじめやすい仕組みも整っています。投資信託について学んでみると、経済のことを勉強できるだけでなく、自分自身の家計を見直すきっかけにもなるかもしれません。

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柴沼直美/ファイナンシャルプランナー

この記事を書いた人
柴沼直美/ファイナンシャルプランナー

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柴沼直美/ファイナンシャルプランナー

大学卒業後、保険営業に従事したのち渡米。国際経営学修士修得後帰国し外資系証券会社、投資顧問会社にてアナリスト、日本株ファンドマネジャーに従事。出産を機に講師業・FP個別相談・執筆を中心としたフリーで活動。2017年日本FP協会広報スタッフ。CFPR, 日本証券アナリスト協会検定会員 証券外務員1種 【HPアドレス】 https://caripri.com/